夕陽の沈み行く方へ

夕陽の沈み行く方へ、いま私は出かけます。あなたに会えるかもしれないという、一雫の希望を胸に。

3月29日の朝、あなたは陽の光を背中いっぱいに浴びて旅立ちました。私に「またいつか」と言って。

私は「手紙をくれ」と言いました。ところが、今日も届きません。5月も半ばになるというのに、今日も手紙が届きません。

夕陽の沈み行く方へ、いま私は出かけます。あなたに会えるかもしれないという、一雫の希望を胸に。

月の光が私を照らしています。私の背中をすうっと押してくれています。列車であなたの写真を眺めている私を、あなたが静かに押してくれています。

夕陽の沈み行く方へ、いま私は出かけます。あなたに会えるかもしれないという、一雫の希望を胸に。

星のまたたく夜。私はひとり、駅前のベンチで草木のささやきを聞いています。探しに行くのはやめにしました。あなたは、新しい道を歩き出したのだから。ただ、あなたの写真を眺め、あなたが私の前を通りかかるのではないかという希望を胸に、明日、始発電車の見えるまで、ベンチに座っておりましょう。

夕陽の沈み行く方へ、いま私は出かけます。あなたに会えるかもしれないという、一雫の希望を胸に。

一雫の希望が、涙となって落ちるまで、私はここにおりましょう。あなたのなかにおりましょう。あなたを愛しておりましょう。

夕陽の沈み行く方へ、いま私は出かけます。あなたに会えるかもしれないという、一雫の希望を胸に。




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