Passage

ひとり佇んでゐる私の前を

ひとりの通行人が駆け抜けてゆきます

また ひとりの通行人が駆け抜けてゆきます

また ひとりの通行人が駆け抜けてゆきます

・・・・・・

 

嗚呼 忙しない通行人の流れよ

道端に咲く小さな花の私など

誰も見向きは致しませぬ

 

嗚呼 矢のごとき通行人の足取りよ

中秋の月なる私は

アンテナの先っぽ高く白い涙を流しています

 

一羽の通行人が空を渡ってゆく

私にはただ眺めてゐることしかできませぬ

 

逃れられぬ地上の道には

海と私とを隔てる大通りがあって

そこを通行人が弾丸のごとく駆け抜けてゆくのですから

 

母を抱く海よ

海を抱く母よ

 

私の心の海を母を 遠ざけるかのように

人生高速道路が

私の前に立ちはだかっております




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